FARM

東京で循環型酪農を行う
東京農工大学
東京・府中にある小さな牧場
キャンパスの一角にひっそりと佇む牛舎。
首をつながれず、自由に過ごす牛たちは、
学生に子牛の頃から可愛がられ、人懐っこく育ちます。
広い牧草地で育った草を食べる、小さな循環も大切にしています。

知る人ぞ知る「牛の楽園」
実は、大学に牧場があることはほとんど知られていません。
塀に囲まれ、一般公開もされていないため、地元の人ですら気づかない存在でした。
しかし、一歩足を踏み入れると驚きます。
広々とした牛舎と大きなパドック。周囲を木々に囲まれた静かな空間。
そして広がる草地。そこには確かに“牛の楽園”がありました。

学生と牛の日常
牛舎は「フリーストール方式」。
首を縛らず、牛が自由に歩き回れるスタイルは、
アニマルウェルフェアの観点からも注目されています。
さらに学生が毎日子牛の世話を担当。
餌やりやブラッシングを通じて、牛と触れ合い続けます。
そのため牛たちはとにかく人懐っこく、やさしい性格に育ちます。

循環する飼料
牛の餌は、大学の畑で育てた牧草やデントコーン。
そこに酒粕やおからといった地域の副産物を活用し、資源を無駄なく循環させています。
キャンパスと地域がつながる酪農の形を実践しています。

研究と連携した取り組み
農工大では、研究との連携を積極的に進めています。
受精卵移植や体外受精の研究により、優良な遺伝資源を守り、
生産性向上と健康維持を両立。
また、メタン低減やアニマルウェルフェアの実践を通じ、
持続可能な酪農の未来像を描いています。
その成果を社会に広げるのが、農工大発スタートアップ「PIXTURE」。
研究を現場に実装するパートナーとして、ミルクの製造販売も支えています。

味わい ― ごくごく飲めるピュアさ
大切に育てられた牛から生まれるミルクは、やさしい甘みと爽やかな後味。
自家牧草や地域資源に支えられた、唯一無二のピュアな味わいです。
そのまま飲むのはもちろん、
ヨーグルトやアイスクリームなどの乳製品にしても抜群です。

東京府中の地域循環や最先端酪農を感じて欲しい
東京・府中にありながら、アニマルウェルフェアや地域循環を実践し、
最先端の研究と連動する牧場。
その存在を知っていただければ、そして何より、
このやさしいミルクの味を楽しんでいただければ幸いです。


(文・木村充慶)